携帯トイレ・簡易トイレの選び方|2026年から「規格適合マーク」で選べるようになりました

備蓄(水・食料・トイレ)

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断水したとき、最初に困るのはトイレです

水も食料も、1日程度なら何とかなります。しかし排泄は止められません。

日本トイレ研究所が能登半島地震で行った調査では、9割の避難所で発災当初に携帯トイレが活用されていました。避難所ですらそうなのですから、在宅避難であればなおさらです。

そして、この分野には多くの人が知らないまま危険な行動を取ってしまう落とし穴があります。

最も重要な注意:断水時、トイレを流してはいけません

水が止まっても、「お風呂の残り水を使えば流せる」と考える方がいます。これは状況によっては非常に危険です。

地震で水道管が破損しているとき、下水管も同時に損傷している可能性があります。その状態で流すと、汚水が流れきらずに詰まり、逆流します。集合住宅では、下の階や建物全体に汚水があふれる事故につながります。

厄介なのは、見た目では下水管が無事かどうか分からないことです。だからこそ、断水したら自治体から「排水して良い」という確認が出るまでは流さないのが原則になります。

つまり携帯トイレは「あると便利なもの」ではなく、トイレを使えなくなった瞬間から、それしか手段がなくなるものです。

必要な数:1人あたり35回分

経済産業省は、成人の1日の平均排泄回数を1人5回とし、備蓄の目安として1週間分(1人あたり35回分)を推奨しています。日本トイレ研究所も同じく35回分(7日分)を必要量としています。

  • 1人分(3日):5回 × 3日 = 15回分
  • 1人分(1週間):5回 × 7日 = 35回分
  • 4人家族(1週間):5回 × 7日 × 4人 = 140回分

4人家族で140回分と聞くと多く感じますが、携帯トイレは1回分あたり数十円〜100円程度で、保管場所もほとんど取りません。費用対効果では防災グッズの中で最も優れています。

2026年から、選び方の基準ができました

ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。

これまで携帯トイレは、製品ごとの品質差を判断する公的な基準がありませんでした。自治体や企業ですら選定基準を持てず、消費者はAmazonのレビューを頼りにするしかない状況でした。

これに対し、NPO法人日本トイレ研究所が「携帯トイレに関する規格 Ver.1.0」を策定し、適合評価制度を開始しました。適合した製品には専用のロゴマークが付与され、適合製品リストも公開されています(2026年5月27日更新)。

評価される3項目

項目 内容
構造 容量、強度、材質、洋風便器への取り付け、交換目安内の品質(必須)
性能 吸収性能(必須)/防臭性能(任意)
表示 販売者名・メーカー名、製品名・型式、使用方法(必須)

注目すべきは、吸収性能が必須項目である一方、防臭性能は任意という点です。つまり適合マークがあっても、臭い対策まで評価されているとは限りません。防臭を重視するなら、防臭性能まで評価された製品かを確認してください。

選ぶときの実践的な手順

  1. 日本トイレ研究所の適合製品リストを確認する(公式サイトでPDF公開)
  2. リストにある製品、または適合ロゴマークが付いた製品を選ぶ
  3. 防臭が気になるなら、防臭性能まで評価されているか確認する

レビューの星の数より、この規格に適合しているかどうかのほうが確かな指標です。

携帯トイレと簡易トイレの違い

呼び方が混在していて分かりにくいのですが、おおよそこう区別されます。

携帯トイレ 簡易トイレ
形 袋と凝固剤のセット 便座・支柱がある組み立て式
使う場所 自宅の洋式便器にかぶせて使う 便器がない場所でも使える
向いている状況 在宅避難(便器は無事だが流せない) 屋外、便器そのものが破損した場合

在宅避難を想定するなら、まず必要なのは「携帯トイレ」です。自宅の便器は使えるけれど流せない、という状況が最も多いためです。簡易トイレ(組み立て式)は、便器自体が壊れた場合や車中泊向けの選択肢になります。

凝固剤の種類

凝固剤にもタイプがあり、性能に差があります。

  • 高分子吸水ポリマー(粉末タイプ):凝固速度が最も速く、消臭力も高いとされています。主流のタイプです
  • 吸水シートタイプ:シート状で扱いやすい一方、吸水量には製品差があります

内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」でも、仮設トイレが届くまでの間は凝固剤を使用した簡易トイレの活用が推奨されています。

正しい使い方

意外と失敗しやすいので、買ったら一度試してください。初めて使うのが被災当日では戸惑います。

手順

  1. 便器に大きいポリ袋(45L程度)をかぶせる
    これは便器を汚さないための保護用です
  2. その上に、携帯トイレの袋を重ねる
    袋を2重にするのがコツです。カドを便器の中心に合わせると安定します
  3. 使用する
  4. 凝固剤を入れる
  5. 空気を抜いて口を固く結ぶ

つまずきやすいポイント

  • 凝固剤は「1回1包」とは限りません。水気が残っているようなら追加してください。「ごみに出しても大丈夫」と思えるまで十分に吸わせきることが重要です
  • 1枚目の保護用袋は繰り返し使えますが、汚れたら交換してください

使用後の処理

ここを知らないと、被災後に困ります。

平常時

多くの自治体で可燃ごみとして出せます。ただし自治体のルールに従ってください(地域差があります)。

災害時

ごみ収集はすぐには再開しません。収集が始まるまでは自宅で保管することになります。

  • 保管用の密閉できる容器やゴミ箱を用意しておく(フタ付きが必須です)
  • 直射日光を避け、できるだけ涼しい場所に
  • まとまった量を出すときは専用の袋にまとめ、「トイレごみ」と大きく明記する(収集する方への配慮であり、事故防止にもなります)
  • 収集再開後は、自治体の災害廃棄物処理の指示に従う

この「保管期間がある」という点が見落とされがちです。携帯トイレを買うときは、使用済みを保管する容器もセットで考えてください。

一緒に備えておきたいもの

  • フタ付きのゴミ箱・密閉容器(使用済みの保管用)
  • ウェットティッシュ・除菌シート(手洗いができません)
  • トイレットペーパー(多めに。ローリングストックで十分です)
  • 消臭スプレー
  • ビニール手袋
  • LEDランタンまたはヘッドライト(停電時、トイレは真っ暗になります。詳しくは停電対策グッズの記事をご覧ください)

まとめ

  1. 断水したら流さない。下水管が損傷していると逆流事故につながります
  2. 1人あたり35回分(1週間分)が目安
  3. 日本トイレ研究所の規格適合製品から選ぶ(2026年から可能になりました)
  4. 在宅避難なら、まず「携帯トイレ」。組み立て式は用途が違います
  5. 使用済みを保管する容器も一緒に備える
  6. 買ったら一度使ってみる

携帯トイレは、防災グッズの中で最も安く、最も場所を取らず、それでいて欠けたときに最も困るものです。まだ用意されていなければ、今週のうちに揃えてしまうことをおすすめします。

参考にした情報源

※本記事の情報は2026年8月時点のものです。

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