防災グッズは買うより点検|負傷者の3〜5割は「家具」が原因です

防災グッズの選び方

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防災グッズを買っただけで、安心していませんか

水も食料もモバイルバッテリーも揃えた。それで備えは完了した——そう思っている方に、2つお伝えしたいことがあります。

1つは、買ったまま放置された防災グッズは、いざという時に使えないということ。モバイルバッテリーは自然放電で空になり、乾電池には使用推奨期限があり、非常食は賞味期限を迎えます。

もう1つは、そもそも買い物より先にやるべきことがあるということです。

東京消防庁が実施した近年の地震被害調査によれば、負傷者の3〜5割が、屋内における家具類の転倒・落下・移動によって負傷しています。

備蓄は生き延びた後に役立つものです。しかし家具の固定は、生き延びるための対策です。順番が逆になっていないか、この機会に確認してみてください。

最優先:家具の固定

なぜ最優先なのか

建物が倒壊しなくても、室内で家具の下敷きになれば命に関わります。さらに家具の転倒は、避難通路をふさぐという二次的な危険も生みます。玄関までの動線に本棚が倒れていれば、外に出ることすらできません。

費用は数千円程度で、効果は防災グッズの中で最も直接的です。

今週やること

  1. 寝室を最優先で見直す
    就寝中は逃げられません。ベッドや布団の周囲に、倒れてくる家具がないか確認してください。頭の側に背の高い家具があるなら、配置を変えるだけでも効果があります(費用ゼロです)
  2. 背の高い家具を固定する
    L字金具が最も確実です。壁に穴を開けられない賃貸住宅では、突っ張り棒とストッパー(家具の前側下部に挟むくさび状のもの)の併用が推奨されています。突っ張り棒だけでは効果が限定的です
  3. ガラスに飛散防止フィルムを貼る
    窓、食器棚のガラス面。破片で足を切ると、避難そのものが困難になります
  4. 避難通路上に物を置かない
    玄関までの動線を実際に歩いて確認してください
  5. 重いものを高い場所に置かない
    家具の上の段ボール、本などを下ろします。これも費用ゼロです

点検リスト|すでに備えている人向け

備蓄品は「買って終わり」ではありません。年1回、日を決めて点検する習慣をつけると管理が楽になります。

期限の点検

  • 飲料水・非常食の賞味期限:期限が近いものは、この機会に食べて買い足します(ローリングストックの考え方)
  • 乾電池の使用推奨期限:最も見落とされがちです
  • カセットボンベの使用期限:製造から約7年が目安です
  • 常備薬・処方薬の期限
  • 携帯トイレの交換目安:凝固剤にも劣化があります(携帯トイレの選び方)

充電・動作の点検

  • モバイルバッテリーの残量:自然放電で空になっていることがよくあります。備えてあるのに使えない、という最も多い失敗です
  • ポータブル電源の充電:3〜6ヶ月に1度の充電が必要です(ポータブル電源の選び方)
  • ライト類の点灯確認:電池を入れて実際に点けてみます
  • ラジオの受信確認

中身の見直し

  • 防災リュックを実際に背負ってみる:重すぎないか。詳しくは防災リュックの記事で解説しています
  • 衣類のサイズ:子どもは1年でサイズが変わります
  • 家族構成の変化:家族が増えた、高齢の親と同居を始めた、ペットを迎えた等
  • スマホに合う充電ケーブルが入っているか:機種変更でケーブルの規格が変わっていることがあります

点検日は「9月1日」に決めると続きます

点検を習慣にするには、日付を固定してしまうのが最も確実です。おすすめは9月1日の防災の日です。

防災の日は、1923年9月1日に発生した関東大震災の犠牲者をしのび、災害からの復興を祈って1960年に制定されました。あわせて8月30日から9月5日までが防災週間とされています。国民の祝日ではないため、会社も学校も通常どおりです。

2026年度の東京消防庁の防災標語は「いつか来る その日のために 今、防災」です。

この時期は自治体の防災訓練も多く、報道でも防災が取り上げられます。周囲の空気が後押ししてくれる時期なので、習慣化のきっかけとして適しています。カレンダーに毎年の予定として登録してしまうことをおすすめします。

この機会にやっておきたい、費用ゼロの準備

1. ハザードマップの確認

「◯◯市 ハザードマップ」で検索し、次を確認します。

  • 自宅が浸水想定区域か(何メートル浸水する想定か)
  • 土砂災害警戒区域か
  • 避難所の場所と、そこまでの経路は安全か

これが分からないと、在宅避難すべきか避難すべきかを判断できません。マンションの高層階で浸水想定が1mなら在宅避難が妥当ですが、木造平屋で3m浸水想定なら迷わず避難です。

2. 安否確認の方法を家族で決める

災害時は電話がつながりにくくなります。

  • 災害用伝言ダイヤル(171)の使い方を確認する
  • 集合場所を決めておく(自宅が使えない場合の第2候補まで)
  • 離れて暮らす家族との連絡方法も決めておく

災害用伝言ダイヤルは、防災週間や毎月1日・15日などに体験利用ができます。実際に使ってみるのがおすすめです。

3. 避難経路を実際に歩いてみる

地図上で確認するのと、実際に歩くのは違います。ブロック塀、狭い道、川沿いなど、危険な箇所を目で確認してください。夜間の避難を想定するなら、暗くなってから歩いてみるとさらに実感できます。

4. 家族で話し合う

  • どのタイミングで避難するか(警戒レベル4で全員避難が基準です)
  • 誰が何を持ち出すか
  • ペットをどうするか
  • 高齢の家族の避難をどう支援するか

まだ何も備えていない方へ

完璧を目指さず、上から順に進めてください。

  1. 家具の固定(数千円・最優先)
  2. 水:1人1日3L × 3日分(1人なら9L)
  3. 携帯トイレ:1人35回分が目安(選び方はこちら)
  4. モバイルバッテリー:20,000mAh
  5. 明かり:ランタン、ヘッドライト(停電対策の詳細)
  6. 食料:3日分(非常食の選び方)

1〜3までなら、合計1万円程度で揃います。一人暮らしの方はこちらの記事で、置き場所の問題も含めて解説しています。

まとめ|買うことより、点検すること

  1. 家具の固定が最優先。負傷者の3〜5割は家具が原因です
  2. すでに備えている人は点検を。特にモバイルバッテリーは空になっています
  3. 点検日を9月1日に固定すると習慣になります
  4. 費用ゼロでできること(ハザードマップ、安否確認の方法、避難経路)から始めてください

防災は一度で完成するものではありません。年に1回見直すというリズムを作ることが、結果として最も長続きします。

参考にした情報源

※本記事の情報は2026年9月時点のものです。

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